京大卒の気まぐれ数学:何回折っても整数比にならないの?

正方形の折り紙を縦に1回、横に一回半分に折ります。展開すると、対辺の中点を通る折り目がついています。この展開図の中に含まれる正方形の数は、1+4 = 5個、長方形の数は4個 (縦縦、縦横、横横、横縦)です。だから、正方形の数と長方形の数は4:5です。つまり、(長方形の数と正方形の数の比) = 4/5で、整数でなく分数です。

実は、この性質は何回繰り返しても成立するのです。nを自然数とし、n回折ったとしましょう。この時、展開図に含まれる四角形の数はQ(n) = ({}_{2^{n}+1} C_2)^2個です。(縦横それぞれの直線から2本ずつ選べば良いのです)。正方形の数はS(n)=\sum_{k=1}^{2^{n}} k^{2} 個であり、長方形の数はR(n) = Q(n) - S(n)ですから、正方形の数と長方形の数の比は、

\frac{R(n)}{S(n)} = \frac{Q(n) - S(n)}{S(n) }   =  \frac{Q(n)}{S(n)} - 1 となります。自乗の級数和の公式から \frac{Q(n)}{S(n) } を整理しますと、\cfrac{  ( {}_{2^{n}+1} C_2 )^2 } {\frac{2^{n}(2^{n}+1) (2^{n+1} + 1)      } {6} } = \cfrac{3 \cdot 2^{n-1}(2^{n}+1)  }{2^{n+1}+1} = 2^{n-1}\cfrac{3 \cdot (2^{n}+1 ) }{2^{n+1} + 1}

 2^{n+1}+1,n\geq1は奇数で、2^{n-1} は偶数です(n=1の場合は奇数ですが、分母を割れないので却下)。また、

 \cfrac{3 \cdot (2^{n}+1)} {2^{n+1} + 1}=\cfrac{2^{n+1}+2^{n}+1+2}{2^{n+1}+1} =1 + 2 \cdot \cfrac{2^{n-1}+1}{2^{n+1}+1}

 2^{n-1}+1 \lt  2^{n+1}+1 ですから、分子より分母の方が常に大きいです。勿論、分母は奇数なので、2で割り切れません。

 

従って、\frac{  R(n)  }{S(n) } は整数になりません。正方形の数と長方形の数の比は、何回折っても整数にならないのです。

気になる方は、何度でも折って試してみてください。