京大卒の気まぐれ数学: 何等分してもやっぱり整数にならないじゃん!

折り紙を海外の人に教えると、それはそれは喜んでもらえます。紙一枚で色んなものが作れるこの文化、向こうには無いようでびっくりでした。

 

 

 

昨日は2等分した時の四角形の数について考えました。では、3等分した時は?5等分した時は?もっと小さく分けた時は?順番に考えてみましょう。

 

まずは、3等分の場合です。正方形の数と長方形の数の比は、

2^{n} \rightarrow 3^{n}として、 \cfrac{3 \cdot 3^{n}(3^{n}+1) } {2( 2\cdot 3^{n}+1)} です。しかし、2 \cdot (2 \cdot 3^{n}+1) = 4\cdot 3^{n} + 2 = 3^{n+1} + 3^{n} + 2 = (3^{n+1} + 1) + (3^{n}+1)

ですし、分母は3では割り切れません。また、 3^{n+1} + 1 \gt 3^{n}+1ですから、分母を3^{n}+1で割ることはできません。従って、正方形の数と長方形の数の比は、2当分した時と同様、整数にはなりません。

 

次は5等分の場合です。2^{n} \rightarrow 5^{n} として、 \cfrac{3 \cdot 5^{n}( 5^{n} + 1 ) } {2( 2 \cdot  5^{n}+1 )  } です。 

 2 \cdot 5^{n} +1 = 2(5^{n}+1)-1 = 5^{n}+5^{n}+1なので、2 \cdot 5^{n}+15^{n}5^{n}+1では割り切れません。

また、 2 \cdot 5^{n}+1 = 3を満たす自然数nは存在しません。従って、どうやっても分母が残りますので、比は整数になりません。

 

お気づきかと思いますが、何等分しても整数にはなりません。5等分した時と同じやり方で分母が残ってしまいます。(試してみてください)

1000等分しようが、1000000000等分しようが、中に含まれる正方形と長方形の数の比は整数にならないのです。

京大卒の気まぐれ数学:何回折っても整数比にならないの?

正方形の折り紙を縦に1回、横に一回半分に折ります。展開すると、対辺の中点を通る折り目がついています。この展開図の中に含まれる正方形の数は、1+4 = 5個、長方形の数は4個 (縦縦、縦横、横横、横縦)です。だから、正方形の数と長方形の数は4:5です。つまり、(長方形の数と正方形の数の比) = 4/5で、整数でなく分数です。

実は、この性質は何回繰り返しても成立するのです。nを自然数とし、n回折ったとしましょう。この時、展開図に含まれる四角形の数はQ(n) = ({}_{2^{n}+1} C_2)^2個です。(縦横それぞれの直線から2本ずつ選べば良いのです)。正方形の数はS(n)=\sum_{k=1}^{2^{n}} k^{2} 個であり、長方形の数はR(n) = Q(n) - S(n)ですから、正方形の数と長方形の数の比は、

\frac{R(n)}{S(n)} = \frac{Q(n) - S(n)}{S(n) }   =  \frac{Q(n)}{S(n)} - 1 となります。自乗の級数和の公式から \frac{Q(n)}{S(n) } を整理しますと、\cfrac{  ( {}_{2^{n}+1} C_2 )^2 } {\frac{2^{n}(2^{n}+1) (2^{n+1} + 1)      } {6} } = \cfrac{3 \cdot 2^{n-1}(2^{n}+1)  }{2^{n+1}+1} = 2^{n-1}\cfrac{3 \cdot (2^{n}+1 ) }{2^{n+1} + 1}

 2^{n+1}+1,n\geq1は奇数で、2^{n-1} は偶数です(n=1の場合は奇数ですが、分母を割れないので却下)。また、

 \cfrac{3 \cdot (2^{n}+1)} {2^{n+1} + 1}=\cfrac{2^{n+1}+2^{n}+1+2}{2^{n+1}+1} =1 + 2 \cdot \cfrac{2^{n-1}+1}{2^{n+1}+1}

 2^{n-1}+1 \lt  2^{n+1}+1 ですから、分子より分母の方が常に大きいです。勿論、分母は奇数なので、2で割り切れません。

 

従って、\frac{  R(n)  }{S(n) } は整数になりません。正方形の数と長方形の数の比は、何回折っても整数にならないのです。

気になる方は、何度でも折って試してみてください。